車検・点検情報(1)

 車検は”ニューサービス”の時代 
 新潟かわら版  vol.13 (2000.02) 掲載より

  多様なニーズの中で・・・

 平成7年の車両法改正以降、基本点検料金や預かり時間の短縮を目玉にした低価格車検をチラシなどでPRするコバック、ホリデー、アップルなど車検ディスカウントチェーンが目立ち始めている。県内でのその数は20ヶ所程度にとどまっているが、整備業界では給油所の事業参入のほか、こうした新業態による影響が深刻になり、ドライバーの選択の多様化に対応する新たな受け入れが問われている。

 こうした中、民間指定工場では従来の車検費用が不透明で高額にみられがちだったことを受け、予防整備(前整備)から顧客への説明を重視したオプション整備(後整備)に切り替えて費用の負担軽減や透明化を図る「ニューサービス」を導入する動きもみられる。

  割高なイメージを払拭

 2個所の指定工場を持ち、従来から直営給油所と連携して整備部門の強化を図ってきた中村石油(中村伸社長)は、一昨年に柏崎チューンナップセンターでニューサービスを導入し、上越センターでも年内の導入を計画している。竹内捨男常務は「 ディスカウント数店舗が参入した柏崎、上越も当初はユーザーの流出が目立った。制度改正と消費者のふところを巧みについた商法だが、車検をすれば車は万全と考えるユーザーの認識とは裏腹に通検後に不具合が生じるケースも現実にみられる。 」と検査重視の新業態の手法では安全面に間題があると指摘する。

 さらに、「 ニューサービス導入当初は付帯収益も低迷したが、むしろ車検自体のシステムや各部品の交換時期の説明などを徹底したことで、安さで安全は買えないと理解したユーザーは回帰し、結局は受注台数、付帯利益とも増加に転じている。 」とし、「結果的には新たにユーザー主体の整備を始めたことが、割高なイメージの払拭や信頼関係の構築にもつながっている。」という。

 また、給油所での車検の取り組みについて、「 リピーターの比率をいかに高めるかが共通課題だが、買い替えや転居なども含めた見込み台数との格差については、給油所が窓口となって店頭やダイレクトメールなどのアフターフォローを徹底するしかない。 」と販売促進と同時に車両管理の見直しの必要性を指摘している。


     車検・点検情報(2)

 ”声かけ”励行でレベル向上 
   川崎商会 三条県央ss 
 新潟かわら版  vol.20 (2000.10) 掲載より

 川崎商会三条県央SS(平野章所長・出光系)では、「油外販売の墓本は点検から 」を全従業員に徹底させている。給油所数が多い同社はサービスの平準化を図るため、メーカーの教育プログラムをべ一スに昨年から独自審査を制度化。全社員のレベルアップに努め、フルサービス体制の確立を進めている。

 給油所スタッフを評価するポイントは、「接客台数に対してどれだけ点検を実施できたか 」。点検は油外商品を売るためのものではなく、安全走行のためのサービスと捉え、車の状態を報告するだけに徹している。その先の判断はあくまでもユーザー任せだ。

 点検方法としては、まず窓拭き時にワイパーやタイヤの状況を確認し、オープンボンネットの声掛けをする。馴染み客とフリー客との区別はしない。差別を付け始めると点検がやりにくくなるので、断られてもいいからとにかく声を掛ける。これによって、接客時に必ず声を掛けるという決め事が徹底されたという。点検内容は記録表でユーザーに手渡す。一方、スタッフは各車の状況をとりあえず“情報”として予約台帳に書き込んでおく。リピートで交換などの依頼が来た場合、実績は惰報を入れたスタッフにつく。これが押し売りにつながらない要因になっている。

 平野所長は周辺の6給油所を担当する中越支店長として「とにかく人を育てないと油外は上がらない。 」とスタッフのレベルアッブに日々取り組むと同時に、現場スタッフの意見を取り入れて企画ごとの責任者を決めるなど、油外販売意識の高揚に努めている。


     車検・点検情報(3)

 LLCを”通年商品化” 
   チャンジャー導入で交換スムーズ 
 新潟かわら版  vol.20 (2000.10) 掲載より

 寒冷時の凍結防止のため、LLCのチェックが必要な季節が迫ってきた。ユーザーの点検意識も高まってくることから給油所業界のアプローチが重要になるが、LLCを“通年商品”と位置付けて油外収益の実績につなげている給油所もある。

 中村石油長岡曙SS(佐藤昭夫所長・日石三菱系)では、4年前にLLCチェンジャー導入、毎月100g程度を安定的に販売する。安全点検の一環としてLLCのサブタンクで汚れや減り具合をチェック。激しい汚れにはATFチェッカーを流用し、目視で新品と比較しながらユーザーに説明している。

 ディーラーでは新車の場合だと2年程度をLLCの交換サイクルとしているケースが多い。また、ディーラー以外は車検時に補充や交換が行われているとは限らず、特に代行車検だと皆無に近いとみられる。実際、点検してみると適量に足りない車もかなりあるという。そこで同給油所では、ラジエーター付近に貼付されたステッカーを見ながら、1年ごとの交換を提案している。

 留意点としては、利用客を15分以上待たせないこと。これはほとんどの油外販売時に当てはまるそうだ。そのためにもチェンジャーが欠かせない。手作業だと20分以上かかるが、チェンジャーを使えば乗用車の場合だと10分強で完了する。収益は、4g工賃込みで4800円。これを毎月25台程度こなす。また、真冬の厳しい気象条件の時に作業が集中することの回避にもつながっている。

 ちなみに、機器メーカーによるとチェンジャーの価格は30万円程度とのことだ。


     車検・点検情報(4)

 商品知識向上で車検販売強化 
   岩村物産 東港ドリームプラザss 
 新潟かわら版  vol.21 (2000.11) 掲載より

 岩村物産東港ドリームブラザSS(高橋清彦店長・昭和ロシェル系)は、同社グループの整備工場が先月に民間車検場として認可されたのを機に「シェル車検」工場にも加盟したことを受けて、給油所店頭での車検販売活動を来年1月から強化する方針を打ち出した。いまは準備期間で、ユーザーから要請があった場合にはスタッフ全員が車検の見積もりを出せるよう知識向上に努めている。

 給油所と認証工場は昭和42年に同時オープンしており、給油所では来店頻度を生かしたフロント業務を通じて多い時で月に6〜7台こなしてきたが、今後は1給油所平均で10台以上に増やしたい考えだ。そのポイントとなるのが“商品知識”。これは車検に限らず、「油外販売の基本だ」という。整備業界の弱点とされる消費者二一ズ対応の不十分な部分を、店頭で消費者とダイレクトに接しながら的確なアドバイスにつなげられるように心がけている。ちょっとした質問に対して「わかりません」では消費者は離れてしまうので、この点は従来から特に気をつけてきたとのこと。

 油外商品の中でも、重点を置くのは車検とオイル交換。車を走らせるためにはどうしても必要な項目であり、消費者の認識としても優先順位が高い。ガソリンマージンだけで経営を維持できた時代の理想を追わず、現実を直視した舵取りで経営体質の強化をめざしている。


     車検・点検情報(5)

 セルフとの差別化の手段 
   丸新エネルギー スマイルランド女池インターss
新潟かわら版  vol.23 (2001.01) 掲載より

 丸新エネルギースマイルアイランド女池インターSS(高桑聡所長・日石三菱系)では、3年前の限定認証資格取得をべースに、一段のレベルアップをめざして昨年10月から日石三菱が展開するドクタードライブとしてスタートを切った。

 認証資格の取得前は、車検窓口となってグループの整備工場と連携していたが、取得後は整備付き車検に取り組んできた経験を生かし、同社の近隣3給油所をサテライト化してキーステーションとしての再構築を図った格好。

 車検に重点を置いたのは「車を走らせる限り車検は絶対不可欠。セルフとの差別化を図る強力な手段だ。 」(同社東支店・菅原徹支店長)からで、今月から車検管理担当者を選任、アルバイトも含めた全スタッフに意識付けを浸透させた。高桑所長は「 油外商品をよく利用してくれる顧客が車検まで任せてくれると思い込んで・声かけを偏らせるのはだめ。」と指摘。高額商品ゆえに即決を求めず、「 わかりやすい告知と日常点検を、分け隔てなく“繰り返して”支持を高めていく。」考え。

 車検を柱としたフルサービスを指向する給油所は多いが、「価格差は大差ない。車検内容の明確化と、車検後の2年間のフォロー体制をユーザーに訴えたい。 」と実績拡大をめざす。


     車検・点検情報(6)

 責任ある信頼車検で評価 
   にいがたエネルギー 競馬場インターss 
 新潟かわら版  vol.24 (2001.02) 掲載より

 にいがたエネルギー競馬場インターSS(天野美三男所長・日石三菱系)は、同社が独自推進するドクタードライブセンター(中沢袈裟ニセンター長)と一体化した県内初の民間車検場併設型給油所。平成9年の開所から始まり認証工場を経て、昨年8月に指定を受けた。セミセルフ方式とすることで給油中の時間を有効活用し、セールス活動に充てている。また、「 アルバイトでも感謝の言葉をもらい、やりがいを得られるように」と始めたストップランプ点検も好評で、「 意外とランプ切れの車がある」とのことだ。

 めざすのは「気軽に立ち寄れる整傭工場 」(中沢センター長)。車検や整備に精通した給油所スタッフが店頭アドバイザー役を担うほか、オイルやタイヤ交換などの軽整備を行い、重整備や車検はセンターの専門整備士が扱う。また、土曜・日曜でも即日対応できる民間整備工場の強みを生かすことなどが、女性客の安心感やオーナードライバーの利便性向上に大きく寄与しているという。

 「責任ある信頼車検」(金子輝男取締役企画部長)で顧客評価を高めるとの同社方針に沿って、「 車検は信頼のバロメーター 」(天野所長)と位置付けたスタッフ指導により、ローコスト運営の給油所と充実した整備工場を連携させた“ゾーン会員”の拡大を図る考え。さらに、徹底した事前見積りによる納得型車検でディーラー車検との差別化を進めてきた成果が、リピーターの増加につながっている。


     車検・点検情報(7)

 車検シーズン到来!!    
 いよいよ車検シーズンです。
入庫のピークを迎える2〜3月の需要期に合わせて、今回は「車検」を企画してみました。           協力・ぜんせき新聞

 「車検シーズン到来」。点検・整備事業の規制緩和当初はユーザー車検が脚光を集め、代行業務を行うSSも多かったが、競争激化に伴う車検低価格化によってユーザー意識に変化が見られる。「検査さえ通れば」から「安全確保」への傾向が強まっている背景には、車の使用年数の長期化も影響しているようだ。
 自動車検査登録協力会の2002年版「わが国の自動車保有動向」調査によると、軽自動車を除いた乗用車の平均車齢(初度登録からの経過年月)は6・23年、平均使用年数(新規登録から登録抹消までの使用年月)は10・55年。一方、新潟県の軽自動車を含めた1世帯当たりの普及状況は2・18台(全国10位)と高く、点検・整備の重要性は高い。
 「車を長持ちさせる」ためには定期点検の励行が重要だが、実質的に6ヵ月・12ヵ月点検は自己責任となったため、「車検時だけ」のユーザーも増えた。
 保険業務拡大の一環として車検事業を積極展開している損保ジャパンでは損保会社唯一の「SS推進部」という専門部署を設置し、SS車検を支援。同社が取りまとめた陸運支局別「車検季節指数」によると、全国平均では3月(1・69)が最も高く、2月(1・08)と合わせたこの時期に車検ビジネスを重点化している。特に新潟県内は3月(2・21)と2月(1・12)に集中、3月は通年平均比2倍の車検需要がある格好だ。
 ただ、整備工場とは違いSSで毎日のように作業を行うことは少なく、経験不足が懸念される。そこで同社は、自社研修施設を使った技術の習得や顧客データベースの開発などを通じた施策を積極展開、SS車検を支援している。低価格化が進む中でこれからは車検事業の“内製化”=自社展開が重要だと分析。整備工場と提携して紹介料を得るようなスタイルでは収益圧縮は避けられない。ユーザー指向は「低価格」に加え、安心感が得られる「立ち会い」と迅速対応の「短時間」という3つの“T”にあるという。
 このうち「短時間」は指定工場が圧倒的優位なので、最低限「低価格と立ち会いは不可欠」との見方だ。立ち会い型車検で差別化を図るとともに、県内SS併設型整備工場の弱点とされる店頭販売力を補強するための「店頭告知強化」を訴えている。

県内SSは店頭販売力が弱点とされる。ユーザーへの効果的なアピールが求められる


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